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黒い革財布から、千円札を数枚抜き出し、彼女に渡した。
「自分の分は払います」
「いや、いいから。俺が誘ったんだし」
「でも…」
「いいから、とっとけ」
テーブルで女子高生に金を握らせる俺。隣のテーブルに座っていた子連れの主婦が、俺を軽蔑したような目で見ている。
「俺達、援交してませんから。ジロジロ見ないでくれるかな」
思わず叫んだ俺は、店内にいた客の視線を一斉に浴びる羽目になった。
なんてことだ。
「お待たせしました。葉月さん、なんか怒ってます?」
「怒ってねーよ」
彼女は笑いながら、俺にダブルチーズバーガーとコーヒーを差し出した。彼女はチーズバーガーとオレンジジュースだ。
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