718人が本棚に入れています
本棚に追加
「降ろして下さいー!」
「あのさ、田舎の路線バスじゃないんだから」
「もう家はこの先だから。大丈夫、すぐ…っ」
「なに?」
「すぐに帰らないと、パパに叱られるから」
「はいはい」
五回目のチャレンジも失敗。
惨敗だね、私。
「今日はありがとうございました。ご馳走さまでした」
「美紅」
「はい」
運転席から、肩を抱き寄せられ、不意に唇を奪われた。
「……す…ぐる」
葉月さんは、『なに?』って顔をし、目を見開く。
「おやすみなさーい!」
私は逃げるように助手席から飛び降り、ハイヒールのまま走った。
やっと、名前が呼べた!
最初のコメントを投稿しよう!