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頭の雪を右手で払い、自分のマフラーを外し、美紅の首に巻き付けた。
「…ほら、行くよ」
冷たくなった手を握る。
タクシーを止め、美紅を後部座席に押し込んだ。
「…ったく、俺がいなかったらどうするつもりだ」
「だって、仕事人間だからいるもん」
「仕事人間って、なにそれ?だから泣くなって。風邪気味なんだろ、家まで送るよ」
美紅は鼻をグスグスいわせながら、首を左右に振る。
「夕飯食ったの?」
「…まだ」
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