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折り詰めを開け、大好きな海老を指でつまみ、口に頬張った。
父は始終ご機嫌だ。
「パパ、何かあったの？」
「今日は古くからの友人と、久しぶりに飲んでな」
「ふーん」
「友人の娘と、会社の社員が見合いしたんだ」
「お見合い？」
「見合いといっても、堅苦しいものじゃない。今頃は二人で、楽しく酒でも飲んでいるだろう」
…お酒？
「美紅、誰だと思う？」
父は含み笑いをすると、口角を引き上げた。
「美紅の指導係をした葉月だ。葉月はわが社の有能な社員だ。手放すには惜しいが、見合い相手は東南テレビ取締役の娘。あいつならテレビ業界でも、十分に通用する。この見合いが上手く行けば、葉月は大出世だ。俗にいう、逆玉だな」
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