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俺の横を通り過ぎる美紅。
俺は思わずその腕を掴む。
美紅…行くな。
そう言いたい癖に、俺は…。
「タクシー呼ぶから待ってろ。夜道は危ない」
「…もう…優しくしないで」
俺の手を振りほどき、美紅は玄関を飛び出した。大きな音を立て、玄関のドアが閉まった。
「…くそ」
リビングの壁を何度も握りこぶしで殴った。赤くなりジンジンと痺れる拳。
美紅…
ごめんな…。
拳の痛みよりも、美紅を傷付けた痛みが、胸を締め付ける。
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