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「…って、彼は言ってるけど。松井説明しろよ」
「……それは」
「俺は事実が知りたい。これは大切な事だ。子供の将来にも関わる。嘘を吐いたら許さないぞ」
俺はキツい口調で、松井を問い詰めた。
「…彼とは付き合っていたわ。でも父に反対されて別れたの。別れたあとに、妊娠がわかり、まだ未成年の彼に、本当の事が言えなくて。父に妊娠が知れれば、きっと中絶させられると思ったの。その時…ちょうど桂木のおじ様から見合い話があって…。父も乗り気で…」
「それで俺に罠を仕掛けたのか?酔い潰れた俺に、さも肉体関係があったように装い、俺に他人の子供の父親になれと?」
「…そうするしかなかった。この子の命を守りたかったから。父の望む相手なら、守れると思ったの」
松井の目から、涙が溢れた。
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