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「だって、仕方がなかったの。私は産みたかった。陵平の子供を産みたかった…」
「俺なら簡単に騙せると思ったんだ」
「…違うわ。あなたなら真実を知っても、私も子供も受け入れてくれると思ったから…」
松井の目から、涙が零れ落ちた。
松井…お前何やってんだよ。
どうして、惚れた男に全てをぶつけないんだ。
目の前の彼を愛している癖に。俺なんかを選ぶんじゃない。
「悪いが、俺はお断りだ。他人の子供を身籠った女性と、結婚するなんてまっぴらだ。この結婚は白紙に戻す」
「でも…もう招待状の印刷も、挙式の日取りも決まってる…」
「俺は、お前達に振り回され、大切なものを失った。もう取り戻せない。愛する者を失う気持ちが、お前達にわかるか?お前達には二人を繋ぐ大切な命があるだろう。お互い愛し合っているなら、駆け落ちでも何でもすればいいんだ」
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