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「…そんな事をしたら、あなたの立場が」
「俺か?俺はもう失うものはない。ほら、早く行けよ。俺の前から消えろ」
美紅を傷付け、美紅を失った今。
俺にはもう、何も恐いものはない。
「葉月君…本当にいいの?」
「後始末は、俺に任せろ」
「…ありがとう」
「ありがとうございます。でも俺は逃げません。ヒカルの両親と話し合います。認めて貰えるまで、何度でも話し合います」
「…そうか」
認めて貰えるまで、話し合うとは。若いのにしっかりしているな。
俺は美紅から逃げた。
泣いている美紅の気持ちを、置き去りにし、酷い言葉を浴びせた。
俺が身を引くことが、美紅の幸せだと思ったから。
松井との結婚が解消されても、俺達はもう…元には戻れない。
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