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私はコートを掴み、部屋を飛び出した。
葉月さんは、まだあのマンションに住んでいるはず。
タクシーを止め、葉月さんのマンションがある麻布へ向かった。
もう合鍵を持っていない私。
でも…大丈夫…
きっと…逢える。
葉月さんに…
必ず逢える。
――麻布のマンション。
葉月さんの部屋の前。
一枚の紙が、ドアに貼ってあった。
【空室、住居者募集】
一枚の紙が、通路から吹き抜ける風で、パラパラと音を立てて揺れた。
私に…黙って…
何処に行ったの。
私をおいて…
何処に行ったのよ…。
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