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「鍵?」
私は小さく頷く。
「鍵を返す為に来たのか?」
「葉月さんに…確かめたくて…」
私は勇気を振り絞り、葉月さんに問い掛けた。
すでに…瞳は潤んでいる。
泣かない…
まだ…泣かない。
ちゃんと…話をしたいから。
葉月さんは黙って、エアコンのスイッチを入れ、キッチンに立ち珈琲を入れ始めた。
珈琲を沸かす音と、珈琲の香りが部屋の中に充満する。
葉月さんと話たいのに、一言発すると泣いてしまいそうで、唇をキュッと結んだまま声を出す事が出来ない。
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