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◇◇
仕事を終えマンションに戻ると、部屋に明かりがついていた。
玄関には、女物の黒いブーツ。
美紅……?
俺はリビングに視線を向ける。ソファーの前に、美紅が立っていた。
一ヶ月振りに逢う美紅に、俺の鼓動は速まる。本当は抱き締めて誤解を解きたい。
でも…松井の妊娠を知った俺には、出来ない。
部屋の中は寒くて…
こんな寒い部屋で、俺の帰りを待っていたのかと思うと、胸は締め付けられた。
エアコンのスイッチを入れ、冷えた体を温める為に珈琲を入れる。
不安そうに俯いている美紅…
今にも、泣き出しそうだ。
でも、俺の気持ちはもう決まっていた。
奪い去る愛と…
見守る愛があるのなら…
俺は…君の幸せを見守りたい。
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