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「え~いらないよ。でも、狸さんノルマあるの?」
狸がコクンコクンと頷いた。
「これ、美味しいの?」
コクンコクンと再び狸が頷く。
「お待たせ。あれ、美紅コレ買うの?」
「うん、まぁね」
私は狸に視線を移す。
「早く買い物しよう。遥がさ、牛カルビとレバーは必須だって」
「レバー?やだ私嫌いだよ」
「いーから、いーから、早く買い物済ませよう」
進は私の手を掴んだ。
繋がれた手に、ドキッとしながら、私はもう一度狸に視線を向ける。
着ぐるみ狸が両手をダラリと下げたまま、私達を見て寂しそうに頭を垂れた。
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