471人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
――と、その時…
父が私の手をギュッと握り返した。
「パパ!パパ!わかるの?美紅だよ。ママもここにいるよ」
「あなた…あなた…」
閉じられた瞼…
一筋の涙が、頬に零れ落ちた。
パパ…
泣かないで…
パパ…
大丈夫…私達が傍にいるから…。
――あれから一ヶ月
父は一進一退を繰り返した。
意識は戻り、少しだけなら会話も交わせるようになり、父はICUから個室に移った。
私は父が回復し、ICUから個室に移れたのだと、そう解釈していた。
でも…違ったんだ。
最初のコメントを投稿しよう!