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優は十階のボタンを押した。
「何処に行くの?」
「夢の国」
十階で降りた私達は、ホテルの部屋に入る。室内には沢山の薔薇の花が飾られ、甘い香りに包まれていた。
私は狸の頭を脱ぎ、部屋の中を見渡す。まるで花の妖精になった気分。
「わぁ~綺麗」
「メリークリスマス、美紅」
「優…」
吸血鬼は再び私の首筋に顔を埋め、キスを繰り返した。くすぐったくて、私は身を捩る。
「去年はトナカイで。今年は狸か。想定外だな、脱がせるのが大変だ」
「…意地悪。でも…懐かしい。優とスーパーで逢った時のことを思い出しちゃった」
「ポンポコポッキーか?そんなこともあったな」
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