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◇◇
「いたっ…」
「また、やったのか?」
リビングで新聞を読んでいた優が、椅子から立ち上がる。
呆れたように眉をしかめながら、キッチンにいた私の左手の人差し指を手にとった。
「相変わらずドジだな」
血の滲む指先。
キッチンカウンターに、常備してある消毒液をシュッと吹き付け、慣れた手つきで、ガーゼと絆創膏を私の人差し指にくるりと巻いた。
「これで何本目?そのうち指が全部なくなるよ」
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