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俺の目の前に、美紅の姿…。
美紅は俺を見て、目を見開いている。
咄嗟に逃げ出そうとした美紅を、走り寄って抱き締めた。
普段冷静な俺が、感情を抑えることが出来ない。美紅を抱き締めたまま、泣くことを…我慢出来なかった。
病院へは戻らないと、取り乱す美紅。美紅の目から大粒の涙が零れ落ちた。
『奥様の腫瘍は、検査の結果悪性の可能性が非常に高い。一刻も早い手術をお勧めします』美紅がいなくなり、主治医から言われた言葉を思い出す。
美紅…
俺は美紅に、生きていて欲しい。
美紅を愛している。
子供の命も救いたい。
だけど…
今の俺は…
それ以上に、美紅を失いたくない。
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