第6話 絶望の岸辺に

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ーーーー空は曇り。 どんよりとした黒い雲が、私が今から向かうであろう方角に鎮座している。 頭の隅に雨が降るかどうかの懸念はあったが、きっと大丈夫だとたかをくくってバスに乗り込んだ私。 バスは珍しくガラガラで、乗っている乗客は私を含めて七、八人。 座席指定があったので、私はその座席の通りに後ろから二番目の席に腰を下ろす。 隣の座席は空いているが、通路を挟んだ向こうの座席には一人の青年が座っていた。 短髪で物静かそうな空気を纏った青年は、バスの中で本を読み耽っているようだ。 よく乗り物に乗りながら本なんて読めるな、と感心していると、彼が突然視線をこちらへと向けたせいで目が合ってしまう。 「あ……」 目が合ってしまったせいで逸らし辛く、妙に気まずい空気が二人の間に重くのし掛かった。
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