第6話 絶望の岸辺に

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どうすれば良いのかわからず、私はただしどろもどろしていると、彼が爽やかな笑顔と共に一言発した。 「こんにちは」 なんだかよくわからないけどドキッと鼓動が跳ねて、私は混乱した頭の中から返答を探し出す。 「あ……はい……」 あまりに酷い返しをしてしまった自分に激しく後悔。 彼はすぐに本に視線を戻し、その世界に帰っていく。 これから先、山梨での生活が待っているっていうのにこんなんで大丈夫か私。 もっとちゃんとしたコミュニケーション能力をつけなくちゃ。 本当の意味で、心の許せる友達も頑張って作りたいし。 これから先は極力仮面を被らないで生きていこう。 そう心の中で改めて確認した後、窓に寄りかかって流れる景色をボーッと眺める。 特に目新しさもない単調な景色を見ていると、まるで催眠術でも掛けられたような気分になる体質の私はそのまま夢の中へと落ちていった。
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