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私の目に涙が浮かんだ。
スーッと病室のドアが開いた。看護師さんの回診だと思った私は、涙を拭いゆっくりと視線を向ける。
「…優?どうしたの?忘れ物?」
「うん、忘れ物。美紅にキスするの忘れた」
「えっ?」
「やっぱり泣いてる。美生の言った通りだな」
「泣いて…ないよ」
優が私に近付き、両手で抱き締めた。
「看護師さんが、美紅が泣いてるから、どうしても泊まれってさ」
「…嘘つき」
「本当は、美生が『ママが寂しくて泣いてるから、ママのところに行っていいよ』って」
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