非通知着信

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「そ、お願いしまーす」 「…お願いします」 …あ、ヤバい… …ドキドキしてきた。 「猛先輩、っ緊張します…!」 声を出さずには居られなかった。 ふっ 「!?」 「いいから早く打って!」 「は、はいっ!」 …笑われた…でも 私は緊張で研ぎ澄まされていたから絶対見間違いじゃない。 猛先輩がよくするいつものふざけて笑う笑顔と違う?! …一瞬だったけど…いつもと違う笑顔。 それだけで私は嬉しくなった。 対局は… ひどくあっ気ないものだった。 私の黒石は全て取られて白一色になる。 「全滅、死んじゃダメ!囲われた石は相手に取られちゃうの!取られる…つまり、殺されないように生きなくちゃ」 「はい…」 囲碁用語の中には普通に『殺す』や『生きる』『死ぬ』など、物騒な名詞が当たり前のように出てくる。 端から会話だけを聞いてしまったら怪訝に思われそう… …猛先輩は容赦しない。 猛先輩の強さは碁盤を挟んでビシビシ伝わってきた。 そして、怖かった。
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