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無言のプレッシャーに押し潰されそうで…逃げ出したくなる。
私は素人で、ルールも覚えたばかりだし、他の人と打ったことがまだ無い。
けど、途方もない高い壁、ここからはよく見えない高みに猛先輩はいる。
…そう感じた。
猛先輩の強さはそれでも初段位だそうだ。
「猛先輩、僕と一局お願いします!」
私との対局が終わったのを見計らって、一人の部員が猛先輩と私の所へ対局の申込みに来た。
「佐藤!久しぶり。もう少し待って、今検討中」
「はい」
検討とは、対局し終わった後にする反省会のような物らしい。
「私も後でお願いします」
後に続くように、もう一人いた女生徒がこっちに来た。
「ゆうこ!彼氏とはうまくいってる?」
「うまくいってますよ」
二人とも2年生の校章をつけていた。
私の検討は恥ずかしい位ダメダメで、課題だらけで終わった。
その後、猛先輩は佐藤先輩と打ち始めた。
私とゆうこ先輩は静かにその場で見学をした。
…対局の結果は猛先輩の圧勝。
「まぁ、久しぶりに打ったけど、10級位じゃない?」
「はい」
「石の動きがオレと逆。ま、オレと違っても構わないんだけどね」
「…ありがとうございました。またお願いします」
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