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真新しい制服に包まれ、
教室では先生の説明を全員静かに聞いていた。
私は先生の話も上の空で、
机の上にある自分の手と制服の袖をぼおっと見ていた。
…この制服、おじいちゃんに見せたかったな…
ひらり…と、そこへ
風に乗って桜の花びらが舞い降りた。
花びらがやってきた窓の外へ私はなんとなく視線を送った。
「?」
私の目に止まったのは、
半分葉桜になった校庭の桜並木を一人歩く少し茶髪の男子生徒。
「………」
ここは二階の教室。私の席は校庭が見える窓側。
…こんな時間に登校?もうすぐ放課後なのに…
遠目でよく見えないけど悠々と歩くその人が気になって、私はそのまま彼を目で追いかけた…
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