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しばらくその3-Cの教室の場所を確認していたら、教室に残っているのは私だけになっていた。
私は慌ててパンフレットを鞄にしまうと、席を立った。
ふと、さっき見ていた男子生徒が気になって、校庭の桜並木をもう一度見る。
…やっぱりもういないか…
少し残念に思いながら、そのまま教室を後にした。
静かな風の音とグラウンドから発せられる威勢のいい掛け声が廊下に出た私の耳に届く。
進学校なのに活気のある部活があるなんて少し意外に感じながら、声のする方とは反対の方へ歩みを進める。
3年生のクラスは3階。
目的の教室に繋がる階段を見つけ、上がっていく…
「…上級生の教室、…行くの緊張する…」
独り言を聞かれる心配がないくらい人の気配がなかった。
階段を上がると、3-Cの教室は直ぐ近くにあった。
…足が止まる。
緊張はさらに増す。
一呼吸して、
一歩、踏み出した。
後ろのドアが開いていたので、そこから中を覗いてみた。
「…あれ?誰もいない?!」
「邪魔、どいて」
「ひゃあっっ!!?」
私は真後ろから声を掛けられた。
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