第1話

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  人は独りでは生きられない生き物だ。だから互いに共存して生きていこう。 これは正しい。が、限度というものがある。 独りで生きられないのなら、二人で良い。百人なんていらない。「友達百人できるかな?」なんておかしい。 かつてアダムとイヴがそうであったように、子孫繁栄を含めて二人いれば事足りる。 そんなに大勢が良いのなら満員電車で生活したら良いし、何なら野球場の売り子でも可。 そもそも、人間はそんな多勢を相手にする能力には優れていないと思うのだ。 大勢でいると自分を押し殺していなきゃならないし、何より空気に逆らえない。もはや奴隷と形容できる。 一生の友の数が人生の価値を決める、なんてのは妄想だ。 大勢でなければ青春を謳歌できない、なんてのは虚言だ。 孤独になることを恐れて創られた集団は、虚構だ。 この世界に正解などない。何せ数学ですら解の出せない事象もあるのだから。 なら、何をもって解と為すか。簡単である。間違ってさえいなければ全て正解だ。必ずしも、誤解の反対が正解ではないのだけれど。 この先、その正解を追い求める羽目になるとは、知る由もなかった。 
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