転機

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  図書室とは、その学校を映す鑑である。 図書室の環境や臨む生徒の姿。それが当校の本質とも言える。 場がどれだけ英知に溢れているか、推し測れる。そういう点では、やはり我が校は優秀だ。 その静けさは、あたかも己が「悟っちゃったんじゃないの」と錯覚するほどだ。試験勉強や調べ物に適している。 蔵書数も県内有数だし、空調設備も整っている。おまけにラノベまである。 それを再確認して満足した後、俺は改めて眼下の用紙に向き合った。 『部活動入部届け』 A5サイズのコピー用紙には、複数の枠とタイトルが刻まれているだけだった。 これに取り組んでいることから分かるように、俺は今帰宅部だ。良く言えば帰宅部部長だ。 夢野高校は確かに優れた学校だ。それは誰もが認める事実。 偏差値は県内でも上位に食い込むし、私服登校あり。ついでに可愛い女子が多い……らしい。 しかし、いつの時代にも完璧なんて存在しないようだ。 良くある話だ。才色兼備でブルジョワの美少女生徒会長ですがお胸だけはまな板なんです、的な。何か長文タイトルっぽいな。  
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