あれから三ヶ月。

27/39
前へ
/39ページ
次へ
「………………」 それを聞いても、柚子はもう驚かなかった。 話の途中から、薄々そうではないのかと感じていたからだ。 噂の出所は全て吉田で、おそらく吉田は朝倉のことが好きだったのだろう…と。 どこか冷めた意識の中で、柚子はずっと知りたかった三年前の真実を噛み締めていた。 「そう…だったんだね。……だから朝倉くん、急に態度変わっちゃったんだね」 「………………」 悔しそうに唇を真一文字に引き結んだまま、朝倉は顔を上げた。 柚子は苦笑しながら首を傾げる。 「ずっと本当のこと知りたかったの。私に原因があったなら知りたいって。……でも、今日全部わかってよかった。これでもう……」 「何がよかったんだよ、俺達ハメられたんだぞっ!?」 朝倉の剣幕に、柚子はビクッと体を強張らせる。 胸のつかえが取れた柚子とは対照的に、朝倉の拳は悔しさでブルブルと震えていた。 「あいつさえあんな嘘つかなきゃ、俺達別れることなかったんだぞ!? 橘、悔しくねーのかよっ!」 「………………」 辺りを憚らない朝倉の大声に、通行人は野次馬的な視線を投げてくる。 だが興奮しているせいか、朝倉はそれに気付かないようだった。 「………………」 柚子はほっと一つ息を吐き出し、朝倉を見上げた。 「それは……違うと思う」 「…………え?」 「確かにきっかけを作ったのは吉田さんだけど。……でも、私に確かめなかった朝倉くんにも、朝倉くんに聞けなかった私にも、非があるんじゃないかな」 「………………」 淡々とした柚子の言葉に、朝倉はグッと言葉を詰まらせた。  
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2052人が本棚に入れています
本棚に追加