あれから三ヶ月。

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(………私の口から、はっきりと……) 柚子はのろのろと証から朝倉に視線を移す。 何かを感じ取ったのか、朝倉の瞳が一瞬不安げに揺れた。 「………………」 柚子はぎゅっと拳を握りしめる。 ずっとずっと、心にしこりを残していた過去の恋。 思い出す度に辛くて、なかなか次に踏み出すことができなかった。 おそらく一番純粋だった頃に、ただひたむきに好きだという気持ちを追い掛けていられた。 ………その恋に、ようやくピリオドが打てるのだ。 柚子はキッと顔を上げ、真っ直ぐに朝倉の顔を見上げた。 その瞳の強さに、朝倉は微かに息を飲んだ。 「………ごめんね、朝倉くん。……私、今この人と付き合ってるの」 「………………」 柚子の言葉に、朝倉の体がピクリと小さく反応した。 興奮で赤かった顔が、みるみるその色を無くしていくのがわかった。 「この人と……将来は結婚しようと思ってる。……今は、この人だけが私の全てなの」 「………………」 「他の誰のことも、考えられないの」 ここで絶対に間違えてはいけないと。 朝倉に同情して言葉や態度を曖昧にすることは決して許されないのだと。 証の強い視線を背中に感じながら、柚子は力強くそう言い切った。 「だからごめんなさい! 朝倉くんの気持ちには応えられません!」 「…………………」 突き放すように言い、深く頭を下げた柚子を見て。 朝倉はゆっくりと肩の力を抜いた。  
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