あれから三ヶ月。

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少し悔しくなり、柚子は軽く睨むようにして証を見上げた。 「てゆーかさ、証忙しいから絶対来ないって言ってなかった?」 「………………」 鋭い突っ込みを入れると、証はうっと言葉を詰まらせた。 勝ち誇ったように得意げだった顔が、一転して決まり悪そうに柚子から目を逸らす。 柚子の肩から手を離し、そのまま腕を組んでプイと横を向いた。 「………仕事でたまたま通りかかったら、たまたま見かけたんだよ」 「………ふぅん。たまたまばっかりだね」 「うるせ」 ごまかすように強く柚子の腕を引き、証は乱暴な足取りで車へと歩き出した。 「雨に濡れっから行くぞ」 「………………」 掴まれた手首は微かに痛かったが、柚子はそれが妙に嬉しかった。 証が自分を心配して様子を見にきたことは明らかで、そこまで証に想ってもらえているのだと、しみじみ実感することができたからだ。 「ねぇ、証。今から仕事戻るの?」 シートベルトを締めながら尋ねると、証はエンジンキーを回してから首を横に振った。 「いや、もう直帰する。親父にもそう言って出てきたし」 「………ホント? じゃあもう少し一緒にいれる?」 弾んだ声を出した柚子を、証は戸惑ったように見下ろした。 「いれるけど。なに珍しいじゃん。昨日会ったのに連日で一緒にいようとか言うの」 学生の間は週に二回会うというペースを崩したくないと言った柚子の言葉を思い出し、証は少し皮肉混じりにそう言った。 毎日でも会いたい自分に反して、やたらドライなことを言う柚子に少し寂しさと共に不満を感じていたからだ。  
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