【番外編(1)】いちばん大切なひと

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  「ねぇ、あの二人って、付き合ってないのかなぁ?」 「さあ。長瀬さんはともかく、羽村さんは長瀬さんのこと、苦手なんじゃねーの?」 「ええ? そうかなぁ? むしろ仲良しなのにぃ?」 「そう見えるのか、お前には」 「うん!」 勢いよく答えた私に、修平は少しだけ驚いた顔。 ……って言っても、修平って基本的に表情があんまり変わらないから、それを読み取るのはなかなか大変だと思う。 無駄に付き合いが長い私には、もちろんすぐにわかるけど、さ。 「……ま、それならいいけど」 「えっ?」 「こっちの話」 一人で勝手に納得して、修平はお酒に口をつけた。 こうなったらもう、いくら追求したって話してくれることはない。 口が堅いと言えば長所なんだろうけど、もう少し、会話を楽しむ努力をした方がいいと思う。 .
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