【番外編(1)】いちばん大切なひと

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  修平が連れて行ってくれたバーは、カウンターしかない小さなお店だった。 薄暗いけれど怖くはなくて、心地良い音量のジャズが流れている雰囲気がすごく良い感じだ。 「……こんなところに、誰と来るの?」 「誰とも」 修平が答えたと同時に、カウンターの向かいで微笑んでいたバーテンダーのおじさんが声をかけてくれた。 「いらっしゃい、高井くん」 「こんばんは。俺はいつもので。ユリナはどうする?」 「えっ、えっと……」 慌ててメニューを手にしたけれど、一体どれがどんな味のするお酒なのか、全然見当がつかない。 うーん、と唸りながらにらめっこしていたら、修平がそれを取り上げた。 .
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