【番外編(1)】いちばん大切なひと

3/40
前へ
/40ページ
次へ
  「しゅ、修平っ!」 澪先輩と長瀬さんに、背中を押された後。 私はデスクでMacに向かっている修平の横で、仁王立ちで彼を見据えていた。 「……何だよ?」 私の声に、修平がこっちを向いた。 ちょっとだけ、怪訝な顔。 言うべきことは決まっているし、ここに来るまで何度も心の中で練習した。 なのに、いざとなると急に、緊張してきて声にならない。 「え、えっとぉ……あのぉ……」 どう切り出すか思案している私に、修平は眉間のシワをさらに深く刻んで言う。 「……どうしたんだよ? 馬鹿っぽさに磨きかかってんぞ」 「なっ! 失礼ねぇっ! ユリナはただっ……!」 そこまで言って、ぐっと言葉に詰まった。 私は、ただ。 修平の気持ちが、知りたくて。 どうして知りたくなったのか、自分でもわからない。 だけど、澪先輩と長瀬さんと話していたら、絶対に聞かなくちゃと思ったんだ。 俯いた私に、修平は体ごと向けて、尋ねてくる。 .
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1478人が本棚に入れています
本棚に追加