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「……本当に、変だぞお前。どうした? 何かあったのか?」
「な、何もないわよぉ……」
不意に優しくなる修平の視線に気付いて、思わず目を逸らしてしまう。
意を決して、私は口を開く。
「ねぇ、修平」
呼びかけてすぐ、決意が揺らがないうちに、私は何度も心の中で練習した言葉を吐き出した。
「今日、飲みに、行かない?」
一瞬、面食らったような顔をした修平に、心臓がぎゅっとなる。
どうしよう、嫌だとか言われたら。
そんな不安が突然生まれて、嫌な汗が背中を伝う。
ここで理由を聞かれても困るし、いつもみたいに馬鹿にされてかわされても終わりだと思った。
勇気を振り絞って誘った分、いま断られたらもう二度と、誘えないような気がしていたから。
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