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十九時半過ぎ。
私と修平は向かい合って、お酒を飲んでいた。
こういう話をするためのお店なんて全然思いつかなかったから、澪先輩に教えてもらったところにした。
いつも行くようながやがやしたお店じゃなくて、静かで落ち着いた、大人のお店。
澪先輩はいつもこういうところで飲んでるのかなあ?
何だか、このお店の雰囲気がステキ過ぎて、緊張しちゃう。
私には似合っていないような気がして、ちらっと修平の方を窺った。
ら、目が合った。
「……で?」
「へっ?」
「ユリナからいきなり飲みに行こうなんて、珍しいから」
つき出しの煮こごりに箸を付けた修平が、私に言葉を促してくる。
今すぐに、本題は切り出せない。
もう少し飲んで酔っ払ったりして、勢いをつけないと、無理だ。
私は一杯目に選んだリンゴのお酒を口に運んだ。
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