毒と風

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「ふん、一度避けたからって調子に乗んなよガキがぁ!」 そう髑髏が叫ぶと手を突き出した 「喰らいな『毒死蝶』!!」 髑髏の手から毒々しい色をした蝶がざっと40匹ほど放たれる それは舞いながら紅蓮と叶に接近する 「おっと幻狼サマなら分かっていると思うがそいつらに触れたら一発であの世行きだぜ!」 「なんだと!?」 それを聞いた俺はかろうじて目の前まで来ていた蝶から距離を取る そのまま蝶は前にあった鉄格子を溶かしながら消えた 「もしあのまま触れていたら・・・・・」 きっとこの鉄格子のように俺の身体も溶かされていただろう 思わずゾッとする 一方叶は 「こんな物、『旋風』!」 自分の周囲に強風を起こし蝶を吹き飛ばしながら消滅させていた あまりの人間離れた行為に俺は改めてコイツも『妖怪』なんだと認識させられた 「じゃあコイツはどうかな?『毒風』!」 また髑髏も同じように毒々しい風を起こし俺達めがけてぶつけてきた 「くっ」 俺は咄嗟に横に避ける 叶はさっきと同じように風を起こしながら防いでいた 「おせぇよ」 「なっ」 いつの間にか俺の後ろに回り込んでいた髑髏が刀を俺の背中に突き刺そうとした時 「『風剣』!!」 叶が風で造り出した鋭利な剣を髑髏に向かって投げる 髑髏は高く飛び上がり避けた 「チッ、なかなかやるじゃねぇか」 そのまま背中から翼を生やし留まる髑髏 だが、これが彼の失敗だった 叶の風剣は途中で軌道を変え上空にいる髑髏に向かう さすがの髑髏も油断していたのか避けれず背中に深々と突き刺さる 「ぐあぁぁぁぁ!つ、追尾機能だと・・・・・」 そのまま落ちる髑髏 満足に受身を取れずに地面に衝突し動かなくなった 「し、死んだのか・・・?」 以外にあっさりやられた為拍子抜けする紅蓮をよそに叶はトドメをさす為か再び剣を造り近づいた が、この行動が大きな過ちになる 「痛っ!」 叶の足に突然激痛が走る 何かと思い見ると 一匹の蛇が足に噛み付いていた 「しまっ」 一言言い終わらない内にその場に倒れ込む叶 「か、体が・・・・うご・・・・・かん」 「お、おい叶!どうした!」 「へっへっへ・・・・まんまと引っかがりやがった」 「!?」 俺は驚いた 何故なら死んだと思った髑髏がムクリと起き上がったからだ
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