力の代償

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「は!」 俺が次に目覚めた場所は屋上だった 「何だったんだあの夢は・・・・・」 「よう、起きたか」 「!」 俺の後ろにはあの全身真っ黒な男がいた 「てめーには恨みはないが俺を見られちまったからな・・・・悪いが死んでもらうぜ」 「ふん、探す手間が省けた。礼を言うぜ」 「そりゃどういたしまして『毒蛾』」 おしゃべりの時間はそこでおしまいだった 「『毒死斬り』!」 髑髏は助走も無しで軽く2,3メートルは跳躍した 大上段からの一撃が重力の助けも借りて刀を振り下ろす 「こういう事なら分かりやすい・・・・・」 両足のつま先で後ろに跳び、まずは髑髏の初撃をかわす すぐ目の前を、剣先が通る 真剣 触れれば切れる 着地後そのままの姿勢で後ろ向きに走り、髑髏の着地点より五間は離れた所で足を止める 武器が欲しい 紅蓮は切実に思った 『武器ならある』 「!?」 突然声が紅蓮の中で響く 『我の名を喚べ、力を示せ』 「何だ・・・・!」 頭にある『名前』が流れ込んでくる 「うん?」 髑髏は紅蓮が突然立ったまま動かなくなったので不審に思った 一撃目を外した地点から一歩も動かず様子を見ていた 「・・・・・『三影月忌』」 紅蓮がそう呟く すると、手元に一本の『刀』が現れる 刃長四尺反り一寸足らずの細い太刀 刃紋は細い直刃 思わず見とれてしまうような立派な刀だった しかし髑髏は驚いていた 「ほぅ、やっぱりてめーも『妖刀使い』だったか」
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