第1話

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 初めて音楽に感動したのはまだ君と二人、互いに歩幅を合わせて歩いていた初めてのライブ。会場で唸るギター、荒ぶるキーボード、リズムを刻むドラム、鳥肌が立つ生演奏、そして、すべての人の目線を奪うパフォーマンスと心を奪っていく歌声。  スポットライトに当てられた彼らは大きく息を吸って、真っ直ぐに僕らを見つめた。時折、二人の仲の良い会話で会場に笑いが溢れる。僕らはその姿を瞬きせず見つめていた。  高身長の細身の1人が僕らに背を向け、右手を横一直線に伸ばした。そして叫ぶ。 「START!!」  曲の始まりと共に歓声が上がった。  息の合った二人の姿を今でも鮮明に思い出せる。  その言葉と共に僕らの中で夢が動き出した。  あのスポットライトが照らす場所に立とう。  それが君との約束で、僕らの夢だった。
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