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「ね、紗衣。
戸川君とばったり会った、
ってとこなんだけどね、」
怒ったり興奮したりしながらも、
何とか最後まで話を聞いた麻紀が
ニヤッと笑って口を開いた。
「戸川君と一緒に飲んでた谷本君情報からすると、必ずしも『ばったり』じゃないと思うんだよね」
「どういうこと?」
「同期の面々で飲んでたじゃん?
トイレに立った誰かが戻ってきて
『今、成瀬さんが気分悪そうに歩いてた』って言ったんだって」
「うわ、恥ずかし!
私、真っすぐ歩けてなかったと思う」
私は同期の顔をあまり知らない。
こちらは知らない誰かに見られてるというのはかなり恥ずかしい。
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