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「おはよう、三浦君」
「……おはようございます」
月曜日。
三浦君にいつもの勢いがない。
コーヒーのマグを置いて、
PCの電源を入れてから
隣のデスクを覗き込む。
「どうしたの?元気ないね」
「……先輩限定ですよ」
そう言って三浦君はプイと横を向いた。
子供みたいな仕草を笑った私に、
三浦君が食ってかかった。
「……何が可笑しいんですか!」
「ごめんごめん。
あ、チョコあげるから。
金曜に差し入れで貰ったやつが…」
引き出しの中を漁る私に、
三浦君が呆れて言った。
「僕はエサ待ってる犬じゃないです。夏場の会社で土日に放置してたんじゃ溶けてますって」
「…ほんとだ。
これ、食べても大丈夫かな」
「先輩って、
仕事以外じゃ抜けてますよね」
一度溶けて変形したチョコを
三浦君の机に押しやって反論した。
「三浦君が金曜日の帰り急かすから、食べる時間なかったんだよ」
「論点ずれてますよ先輩。
つか、そうです、金曜日!」
三浦君が椅子ごとこっちに寄ってきた。
「……金曜日?」
三浦君と別れてからの色々な出来事を思い起こすと、動揺で目が泳ぐ。
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