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「谷本君は戸川君と紗衣に接点あるって知らなかったから、抜けた理由なんて気にも留めてなかったらしいんだけどね」
麻紀は二缶目のビールの最後の一口をくいっと飲み干して続けた。
「その後谷本君が電話か何かで店の外に出た時、二人が一緒にタクシー乗り込むところをばっちり見ちゃったらしいよ」
「はたから見たら、
そりゃ怪しい光景だよね…」
「それで今朝、谷本君が『あの二人どういう関係?』ってあたしに聞いてきたのよ。
戸川君が帰国してることすら知らなかったのに、しかも紗衣と一緒って、泡吹いたよ」
報告してきなよ、と
麻紀が空缶を投げる真似をした。
「ごめん、電話しようと思ったんだけどさ、金曜日はなんか疲れちゃって。
夜中お風呂で沈没しそうになったし」
そうだろうね、と笑って、
麻紀が食器を片付け始めた。
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