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コーヒーを溢しそうになった私に、三浦君はいよいよ疑いの目を向けた。
「今だってほら動揺しすぎだし」
「やらしい言い方するから!」
「だって先輩、
あいつの話になった途端、
やらしー顔になったし」
「なってないって!
それより早く席戻りなさいよ。
室長が見てるよ」
キュルキュルと椅子の音を立てて戻りながら、まだ三浦君はブツクサ言っていた。
「今朝、あいつ寮で見ましたよ。
エラソで超ムカつきました」
「え?戸川君、寮なの?」
「みたいですよ。住まいが見つかるまでの仮入居らしいですけど」
寮は私の家とは逆方向。
“似た方向だから送ってく”
そう言ってたのに。
帰りはかなり遅くなるはずなのに、最後まで強引についてきてくれた。
パソコンの時刻表示を見ながら、戸川君に思いをめぐらせる。
今頃、戸川君は新しい職場で崎田さんと顔を合わせてるはずだ。
大丈夫なんだろうか。
嫌な思いしてなきゃいいけど…。
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