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古い体質が残る大企業では、総合職であっても女性の立場はまだまだ不安定なのが実情だ。
“やっぱり女は駄目だ”
そう言われたくなくて、仕事はどれも全力でこなしてきた。
でもこの一年は正直パンク気味で
時々限界を感じていた。
「先輩、広報とか他の部門との仕事が多いから、室長も仕事の総量が分かってないんですよ」
ヒソヒソと小さい声で言うと、
三浦君は室長の方を窺いながら、
また椅子ごと帰っていった。
「三浦君…その椅子の音、
かえって目立ってるよ」
私が携わる広報の業務は、マスコミや他企業幹部など多方面とのパイプ作りが必須だ。
そのためには多種の業界紙に目を通すなど、常に旬の情報と知識の厚さを保たなければならなかった。
それには膨大な時間が要るので、
休日はほぼそれに費やしていた。
そのことも、崎田さんとの間に見えない溝を作ってしまった原因の一つだと思う。
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