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戸川君がドアを支えていた手を放して、ずっしりとしたドアの重みは私の手に移った。
肩越しの少し遠い声で戸川君が付け足した。
「…よく考えろよ。やりにくくなるのはお前だけじゃないからな」
さっきより少し柔らかな声音だった。
「まあ、俺は部外者だけど」
分厚い絨毯の床で靴音はしなくても、スーツの擦れる音が遠ざかっていくのが分かる。
三浦君の表情に目を据えたまま、
戸川君の気配を気持ちが追った。
せっかく会えたのに…。
…と、黙っていた三浦君が静かに言った。
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