6395人が本棚に入れています
本棚に追加
それから数日は呆気なく思えるほど何事もなく過ぎた。
あの翌朝、
麻紀はいつもと変わらない賑やかさで、
私達は揃って仲良く出勤した。
「また崎田が来たら、いつでも行くからね」
「麻紀、呼び捨てになってる」
「もういいよ、呼び捨てで」
そんないつも通りの会話を交わした。
でもさすがに諦めたのか、
それとも今の彼女のお相手に忙しいのか、
崎田さんはあの月曜の夜以来、
姿を見せていない。
だけど正直、
そんなことはどうでもよかった。
戸川君はどうしてるんだろう?
そればかりが気になるのに、
相変わらず顔を見る機会すらない。
あれだけ避けてた社食にすら、
行けば会えるかもという望みをかけたのに、
今週は会議が多くて余裕がなく、
自席で昼食をとる日が続いていた。
最初のコメントを投稿しよう!