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「…そんなに笑わなくてもいいじゃない」
「ごめ…、でも据え膳拒否って、
さすが戸川君だよね」
目瞑ってる紗衣想像したらもう、
と息絶え絶えに付け足して、
麻紀はまた爆笑した。
「だから言うの嫌だったんだよ」
公園の夜から半月。
私と戸川君の関係は相変わらず、
友達なのか何なのか曖昧なままだ。
悩みに悩んだ私は麻紀を誘ってティールームに来ている。
「ごめんな、の意味だけどさ、あれこれ考えるよりズバッと本人に聞けばいいじゃん」
笑いがおさまった麻紀は無茶なことを言い出した。
それができたら苦労はない。
「あれから半月も経ってるのに、
今さら聞ける?」
「でも、それからも会ってるんでしょ?」
「うん…たまに」
あれから二回、あの公園で飲んだ。
仕事中に“何時頃に終わる?”とメールが来て、都合が合えば公園で落ち合う。
「いい感じじゃん」
「それがね…まったく色気無し。
仕事の話ばっかりで、
お互い手持ちの缶を飲みきったらお開き」
「屋台で一杯ひっかける感覚?」
「そんなところだね」
仕事の話はもちろん興味深いし楽しいけれど、なんとなく、互いに仕事の話に逃げてる感もある。
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