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「先輩!…先輩!
あいつ、やっぱり最低野郎じゃないですか!」
役員フロアまで戻り、一般社員の姿が見えなくなると、無言で先を行く私に三浦君が後ろから抗議してきた。
「何で戸川君が最低野郎なの?」
顔を見られたくなくて、
前を向いたまま返事した。
「色んな女連れ込んで…」
「あの子は元カノだよ、多分ね。
それに戸川君は色んな女の子と、
って人じゃないと思う」
そう願う。
だけど私の心が痛いのはそこじゃない。
一番近い存在は私じゃなかった…ってことだ。
“片付いたら呼んでやる”
そう言ってくれたのに。
引っ越したばかりの部屋に一番に呼んだのは、あの子だったの?
「今はそうかもしれませんけど、
昔は違ったって聞きましたよ!
来る者拒まず、去る者追わず。
奴と大学が一緒の先輩から聞いたから本当です」
また胸が痛む。
三浦君までが容赦無い。
「女なんて誰でもいいって、」
「戸川君のこと、
それ以上悪く言わないで」
一番気の張る敵をやり過ごして、
私はもう戦意喪失していた。
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