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茫然とする私が拒絶の言葉を発する前に、崎田さんは半身をドアに入れてしまっていた。
「ちょっと…勝手に入らないで」
「話があるから。
一度もきちんと話せてないだろ？」
彼らしくない強引な態度で、
私を押すように玄関に入って来る。
「私はもう納得してるから。
だからもう話なんて」
「僕は別れるつもりなんてなかったんだ」
私を遮るようにして、
崎田さんは言葉を重ねてきた。
「ほんの出来心で始まったことなのに、あんなことになると思わなくて」
出来心…？
無責任にも程がある。
あの時の私ならこの言葉を喜んで受け入れたのかもしれないと思うと、自分の愚かさにも身震いがした。
「でも結果、こうなったんだから。
私はもういいの。…帰って」
崎田さんの顔にカッと血が上ったのが分かった。
もともと育ちが良くて、
プライドの高い人だった。
拒絶されることに慣れてないんだろう。
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