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「僕と話すのも嫌になった?
…もしかして誰か隠してるんじゃないの?」
そう言いながらリビングへと向かう。
「やめてよ!入らないで」
「ああ…、そうだ」
リビングに誰もいないことを見てとると、彼は振り向いて冷たく笑った。
「誰か来るんだっけ?
シャワーまで浴びて待つような相手が」
「……麻紀が、来るの」
咄嗟に嘘をついた。
戸川君と知られたら、
絶対にいいことなんてない。
「だからもう帰って。
話は分かったし、
責めるつもりはないから」
「まだ話は済んでない。
僕は後悔してるんだ、紗衣」
そう言いながら、崎田さんがこちらに一歩踏み出した。
思わず後ずさる。
「彼女は執着心がすごくて息が詰まるんだ。
携帯も覗かれた。
僕達が鉢合わせしたのも、
彼女が紗衣のメールを見たんだよ」
「二股は事実でしょう?
明らかになって良かったのよ」
小野寺さんのせいにするなんて、
呆れ返るしかない。
自分が蒔いた種なのに。
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