嫉妬と煽情と初めての夜#1

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「崎田さんが不安にさせてるからでしょう? 自分でケジメをつけなかったり、 今でもこうしてここに来たり。 彼女を安心させてあげるべきなんじゃない?」 「……その顔だよ」 「え?」 「紗衣はいつだって、 冷静な顔で正しいことを言う。 今だって、浮気されても他人事みたいに」 崎田さんの口から出た言葉に、 私の思考が止まった。 「怒ることも泣くことも、甘えることも嫉妬することもない。 感情がないんだよ、僕に対して。 いつも壁があった」 彼の言葉は心に刺さった。 過去の恋人達にも、 同じようなことを言われてきた。 「…本当に僕を好きだった?」 「まさか、それも疑うの?」 その時、テーブルの上の携帯が鳴った。 崎田さんの視線がテーブルの上に向けられるのを見て、私は咄嗟に飛び付くようにして携帯を掴んだ。 着信画面を見られたら、 戸川君だとばれてしまうから。 「そんなに必死にならなくても分かってるよ。 …戸川でしょ?」 「……」 「出れば?」 崎田さんの前で出る訳にもいかず、 鳴り続ける携帯を握り締めた。
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