嫉妬と煽情と初めての夜#1

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しばらくその場に立ち尽くした後、 吹っ切るように大きく息をついた。 手の中の携帯の履歴を見つめて、 心の中で戸川君に呼びかける。 電話があってから、 まだそれほど経ってない。 きっとあのベンチにいるはずだ。 電話に出ない私に 舌打ちしてるかもしれない。 ……会いたい。 崎田さんと決着がついた勢いだけかもしれないけれど、今なら素直に気持ちを伝える勇気を持てる気がしたし、拒絶されても前を向ける気がした。 電話をかけようとして、止めた。 今すぐ行けばいいんだ。 はやる気持ちを抑え、 携帯だけを握り締めて部屋を出る。 もう道に崎田さんの姿がないことを確認すると、公園まで数分の道を駆け出した。
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