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「おじゃまします…」
戸川君が支えるドアの隙間から
恐る恐る身体を滑り込ませると、
背後で扉がバタンと大きな音を立てた。
シャワーを終えたばかりなのか、石けんの香りと湯気が玄関にも漂っていた。
戸川君は黙ったまま、それ以上の進入を阻むかのように私を見下ろした。
普段より数倍増しの威圧感に、
私は俯いて縮こまった。
「……で、何の用?」
凍りつくような冷たい声音。
「あの…公園に行ったけど、
戸川君いなかったから…」
「…悪い。気が変わった」
そう言い捨てると、戸川君は廊下の数歩先の洗面所らしき部屋に入ってしまった。
その引き締まった背中を見て初めて気付く。
大きなバスタオルを肩にかけていたから気付かなかったけど、戸川君は上半身裸だった。
でも赤面してる余裕なんかなかった。
彼の変化の理由が何なのか、
必死で記憶をたどる。
もしかして…崎田さん?
道でばったり会ったとか?
それだけでこんなに?
「あの…戸川君?」
Tシャツを着て洗面所から出てきた戸川君は、黙って奥へ向かった。
仕方なく、
私も靴を脱いで奥へと進んだ。
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